「フランス語を始めてみたいけど、何からやればいいの?」
そんな疑問を抱えてこのページにたどり着いた方は多いのではないでしょうか。
英語と違って学校で習った経験もなく、周囲にフランス語を話す人もいない。
書店に行けばテキストは並んでいるけれど、どれを選べばいいのか分からない。
ネットで調べても情報が多すぎて、結局どこから手をつければいいのか迷ってしまう——。
この記事では、フランス語学習歴ゼロの完全初心者が「最初の1ヶ月」で取り組むべきことを、5つのステップに分けて順番に解説します。

上から順に進めていけば、迷うことなくフランス語学習のスタートを切ることができます。
フランス語を始める前に決めておくこと


ステップに入る前に、まず「準備」として2つだけ決めておきたいことがあります。
ここを曖昧にしたまま始めると、途中で方向性を見失い、挫折の原因になりかねません。
なぜフランス語を学びたいのか?目的を明確にする
フランス語を学ぶ動機は人それぞれです。
たとえば
「パリ旅行で困らない程度に話したい」
「フランス映画を字幕なしで楽しみたい」
「仕事でフランス語圏のクライアントとやり取りする必要がある」
「フランスへの留学を考えている」
「パートナーがフランス語話者で、家族とコミュニケーションを取りたい」
など、背景はさまざまでしょう。
この「目的」によって、最初にやるべきことの優先順位が変わります。
旅行が目的なら実用フレーズの暗記が最優先ですし、仕事で使うなら文法をしっかり固めてからビジネス表現に進む必要があります。
留学を目指すなら試験対策も視野に入るでしょう。
完璧に決めきれなくても構いません。
「なんとなくフランス語の響きが好きだから」でも立派な動機です。
ただ、自分の中で一言で言える「理由」を持っておくと、学習のモチベーションが下がったときに立ち返る場所になります。
どこまで到達したいかレベル感を知る
ヨーロッパの言語学習には「CEFR(セファール)」という共通の指標があります。
CEFR(セファール)
A1からC2まで6段階に分かれており、それぞれのレベルで「何ができるか」が明確に定義されています。
A1は「挨拶や自己紹介など、最も基本的なやり取りができる」レベル。
A2は「日常的な場面で簡単なコミュニケーションが取れる」レベルで、旅行で困らない程度の会話力はここに該当します。
B1になると「日常的な話題について自分の意見を述べられる」段階で、
B2は「ネイティブと自然にやり取りできる」レベル。
仕事でフランス語を使うなら、B2が一つの目安になります。
C1・C2は上級~ほぼネイティブの域です。
多くの初心者にとって現実的な最初の目標は「A1の達成」です。
この記事で紹介する5ステップを1ヶ月実践すれば、A1に向けた土台がしっかりと出来上がります。
ゴール設定についてさらに詳しく知りたい方は、「大人のフランス語独学|最初に決めるべきゴール設定の考え方」も合わせてご覧ください。目的別に必要なレベルと学習期間の目安を具体的に解説しています。
なお、この記事では「最初の1ヶ月」にフォーカスしていますが、1ヶ月目以降の学習も含めた全体の流れを把握しておきたい方は「フランス語独学ロードマップ|大人が旅行レベルまで到達する6ステップ」を先にチェックしておくと、今後の学習計画が立てやすくなります。
ステップ①|フランス語の「音」に慣れる(最初の1週間)


フランス語学習の第一歩として最もおすすめしたいのが、「まず音を聞く」ことです。
テキストを開いて文法を学ぶのではなく、フランス語がどんな響きを持つ言語なのかを「耳」で体感するところから始めます。
フランス語には、日本語に存在しない音がいくつかあります。
代表的なのが「鼻母音」「R(喉の奥で出す音)」「U(唇を丸めて出す”ュ”に近い音)」の3つです。



これらは日本語話者にとって最初は聞き取ることすら難しく感じるかもしれませんが、心配はいりません。
この段階では「こういう音が存在するんだな」と認識するだけで十分です。
最初の1週間は、通勤時間や家事の合間にフランス語の音声を流すことから始めてみてください。
内容を理解する必要はありません。BGMのようにフランス語を耳に入れることで、脳が少しずつフランス語の音のパターンに慣れていきます。
おすすめの音源
NHKラジオの「まいにちフランス語」が手軽で質も高く、初心者向けに設計されているため最適です。
YouTubeなら「Français avec Pierre」や「InnerFrench」といったチャンネルが人気です。
Podcastであれば「Coffee Break French」が英語話者向けの教材ですが、ゆっくり丁寧に進むので日本人学習者にも取り組みやすい内容になっています。
ここで一つ、強調しておきたいことがあります。
フランス語の発音をカタカナで覚えるのは避けてください。
たとえば「Bonjour」を「ボンジュール」と覚えてしまうと、「on」の鼻母音も「r」の音も正しく再現できなくなります。
最初の段階からフランス語の音はフランス語の音として捉える習慣をつけることが、後々の発音力とリスニング力に大きく影響します。
発音学習のやり方をもっと具体的に知りたい方は、「フランス語の発音に慣れるための独学ステップ」で鼻母音・R・リエゾンなどの攻略法を詳しく紹介しています。
ステップ②|アルファベットと発音ルールを覚える(1〜2週目)


耳がフランス語の音に少し慣れてきたら、次はアルファベットと基本的な発音ルールを学びます。
フランス語のアルファベットは英語と同じ26文字ですが、読み方がまったく異なります。
たとえば「A」は「アー」、「B」は「ベー」、「C」は「セー」、「G」は「ジェー」、「H」は「アッシュ」、「R」は「エール」というように、英語のアルファベットの知識はほぼリセットする必要があります。



まずは26文字のフランス語読みを覚えましょう。YouTubeで「alphabet français」と検索すれば、発音付きの動画がたくさん見つかります。
フランス語の大きな特徴の一つが「綴りと発音のルール」が存在することです。
英語のように単語ごとに発音を覚える必要は少なく、ルールを知っていれば初見の単語でもかなり正確に発音できます。
たとえば「語末の子音字は基本的に読まない」というルールがあります。
「Paris」の「s」を発音しないのはこのルールによるものです。
ただし「c, r, f, l」は例外で、語末でも読むことが多い(”CaReFuL”と覚える人もいます)。
「eau」は「オー」、「ou」は「ウー」、「ai」は「エ」、「oi」は「ワ」と読むなど、母音字の組み合わせにも決まったパターンがあります。
これらのルールを最初に10〜15個ほど覚えるだけで、フランス語のテキストを見たときの「読める感」が格段に上がります。
また、フランス語にはアクセント記号が付くことがあります。
「é(アクサン・テギュ)」は「エ」と明るく発音し、「è(アクサン・グラーヴ)」は「エ」と広く開いて発音します。「ê(アクサン・シルコンフレクス)」も「エ」に近い音です。
「ç(セディーユ)」は「c」を「サ行」の音で読むことを示し、「ë(トレマ)」は前の母音と分けて発音することを意味します。



最初は「こういう記号がある」と認識するだけで大丈夫ですが、意味を知っておくと単語を見たときに発音を推測しやすくなります。
ステップ③|基本の挨拶・フレーズ20個を覚える(2〜3週目)


発音の基礎を押さえたら、いよいよ実際のフランス語フレーズを覚えていきます。最初に覚えるべきは、日常のあらゆる場面で使う「基本の挨拶・定番フレーズ」です。まずは20個を目標にしましょう。
以下に、初心者が最初に覚えたいフレーズを挙げます。
- 「Bonjour(こんにちは)」
- 「Bonsoir(こんばんは)」
- 「Au revoir(さようなら)」
- 「Merci(ありがとう)」
- 「Merci beaucoup(どうもありがとうございます)」
- 「S’il vous plaît(お願いします/すみません)」
- 「Excusez-moi(すみません)」
- 「Pardon(すみません/失礼)」
- 「Oui(はい)」
- 「Non(いいえ)」
- 「Je ne comprends pas(分かりません)」
- 「Vous parlez anglais?(英語を話しますか?)」
- 「Je suis japonais / japonaise(私は日本人です)」
- 「Je m’appelle〇〇(私の名前は〇〇です)」
- 「Enchanté(e)(はじめまして)」
- 「Comment allez-vous?(お元気ですか?)」
- 「Très bien, merci(元気です、ありがとう)」
- 「D’accord(了解、分かりました)」
- 「C’est combien?(いくらですか?)」
- ちなみに、値段を聞いたときに返ってくる数字が聞き取れないと困りますよね。フランス語の数字は独特な数え方をするので、「フランス語の数字0〜100|覚え方のコツと発音」で早めに慣れておくことをおすすめします
- 「L’addition, s’il vous plaît(お会計お願いします)」。
これらのフレーズをさらにシーン別に整理した記事「もう迷わない!フランス語初心者がまず最初にマスターすべき「魔法のフレーズ」」では、カフェ・レストラン・ホテルなど実際に使う場面とセットで覚えられるように構成しています。
自己紹介のテンプレートとしては、
Bonjour, je m’appelle〇〇. Je suis japonais(e). J’habite à Tokyo. J’apprends le français depuis un mois. Enchanté(e).
こんにちは、〇〇です。日本人です。東京に住んでいます。1ヶ月前からフランス語を学んでいます。はじめまして。
という流れを丸ごと覚えてしまうと、実際に自己紹介する場面で役立ちます。
自己紹介の表現をもっと広げたい方は、「フランス語の挨拶・自己紹介フレーズまとめ」も参考にしてみてください。名前・出身地・職業・趣味まで、テンプレートに沿って話せるようになります。
フレーズを覚えるコツは「場面とセットで記憶する」ことです。単語帳のように「Merci=ありがとう」と暗記するのではなく、「カフェでコーヒーを受け取ったときにMerciと言う自分」を想像しながら声に出してみてください。場面と結びついた記憶は定着しやすく、実際の会話でもスムーズに出てくるようになります。
ステップ④|文法の入口を理解する(3〜4週目)


4週目に入ったら、フランス語文法の「最初の一歩」に踏み込みます。文法と聞くと身構えてしまう方もいるかもしれませんが、最初に押さえるべきポイントは実はそれほど多くありません。
まず知っておくべきなのが「名詞の性」です。フランス語のすべての名詞は「男性名詞」か「女性名詞」に分類されます。
「本(livre)」は男性名詞、「テーブル(table)」は女性名詞、といった具合です。
なぜその性なのかに明確な理由がないことも多く、新しい単語を覚えるときは性とセットで覚える必要があります。
「どうやって見分ければいいの?」と思った方は、「フランス語の名詞の性別|語尾パターンで7〜8割見分ける方法」を読んでみてください。語尾の法則を知るだけで、初見の単語でも性別の当たりがつけられるようになります。
名詞の性が重要なのは、それによって「冠詞」が変わるからです。
男性名詞には「le(定冠詞)」「un(不定冠詞)」、女性名詞には「la(定冠詞)」「une(不定冠詞)」が付きます。
複数形になるとどちらも「les(定冠詞)」「des(不定冠詞)」になります。



たとえば「le livre(その本)」「une table(あるテーブル)」「les enfants(子どもたち)」のように使います。
冠詞のルールをもっと詳しく知りたい方は、「フランス語の冠詞(le/la/un/du)完全ガイド|カフェで学ぶ3つの使い分け」で定冠詞・不定冠詞・部分冠詞の違いをカフェでの注文シーンを例に分かりやすく解説しています。
次に、最も基本的な動詞を2つ覚えましょう。「être(〜である、英語のbe動詞)」と「avoir(持っている、英語のhave)」です。
フランス語の動詞は主語によって形が変わります(これを「活用」と言います)。
êtreなら「je suis / tu es / il est / nous sommes / vous êtes / ils sont」
avoirなら「j’ai / tu as / il a / nous avons / vous avez / ils ont」です。



この2つの動詞は日常会話のあらゆる場面で登場するため、活用を丸暗記する価値があります。
être と avoir の活用をしっかり覚えたい方は、「フランス語の動詞活用|まず覚えるべき「4大動詞+1」完全ガイド」がおすすめです。
être・avoir に加えて aller・faire・venir の5つを覚えるだけで、日常会話の大部分に対応できるようになります。
文法を「全部覚えなきゃ」とプレッシャーに感じている方は、「大人の独学でフランス語の文法がつらく感じる理由と現実的な付き合い方」を読んでみてください。
最初に必要な文法は実はごくわずかだ、ということが分かるはずです。
ここで一つアドバイスですが、文法を「完璧に理解してから次に進む」必要はありません。
最初は全体像をぼんやり掴む程度で十分です。
学習を進める中で繰り返し出会ううちに、自然と定着していきます。完璧主義は語学学習最大の敵です。
ステップ⑤|「続ける仕組み」を作る


5つ目のステップは、学習そのものの内容ではなく「続けるための環境づくり」です。
語学学習は短距離走ではなくマラソンです。最初の1ヶ月を走りきっても、そこで止まってしまっては意味がありません。
2ヶ月目、3ヶ月目、そしてその先も自然と続けられる仕組みを整えましょう。
まず意識してほしいのは「1日15分でいい」ということです。語学は「たまに3時間」より「毎日15分」のほうが圧倒的に効果があります。
- 通勤中にPodcastを聴く
- 寝る前にアプリで5分だけ復習する
といった小さな積み重ねが確実に力になります。
大切なのは「毎日フランス語に触れる」こと。量よりも頻度です。
習慣化のツールとしてはアプリの活用が効果的です。
Duolingoは無料で使えてゲーム感覚で進められるため、毎日のルーティンに組み込みやすい設計になっています。
他にもBusuuやMemriseなど、目的に応じて使い分けられるアプリがあります。
また、可能であれば週に1回でもネイティブスピーカーと話す機会を作ることを強くおすすめします。



「まだ全然話せないのに?」と思うかもしれませんが、たとえ片言でも実際に人と話す体験は、モチベーションの維持に絶大な効果があります。
オンラインレッスンなら自宅から気軽に受けられますし、多くのサービスが初心者向けレッスンを用意しています。
具体的なサービスの比較は「【2026年最新】フランス語オンラインレッスンおすすめ7社|料金・特徴を徹底比較」で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
さらに、一人で黙々と続けるのが苦手な方は「仲間」を見つけるのも一つの手です。
X(旧Twitter)で「#フランス語学習」と検索すると、同じように学習中の人がたくさん見つかります。
お互いの進捗を報告し合うだけでも、学習を続ける大きなモチベーションになります。
「1ヶ月目以降も独学を続けたいけど、具体的に何をすればいいか分からない」という方は、「大人がフランス語を独学で始めるための7ステップ|最初の3ヶ月の完全ガイド」でアプリと参考書の使い分けやリスニング・スピーキング練習の取り入れ方まで解説しています。
独学に限界を感じたら?スクールという選択肢


ここまで紹介した5ステップは、基本的にすべて独学で実践できる内容です。
テキストやアプリ、無料の動画コンテンツを活用すれば、費用を抑えながらフランス語の基礎を固めることは十分可能です。



ただ、学習を進めていく中で「本当にこの発音で合っているのか不安」「文法の疑問をその場で解決したい」「独学だとサボってしまう」と感じる方も出てくるでしょう。これはごく自然なことです。
独学が向いているのは、自分でスケジュールを管理でき、分からないことを調べて解決する作業が苦にならないタイプの方です。
一方で、「誰かに導いてもらったほうが安心する」「間違いをその場で指摘してもらいたい」「強制力がないと続かない」という方は、スクールやオンラインレッスンの活用を検討してみる価値があります。
「スクールに通う=独学の失敗」ではありません。
プロの講師から学ぶことで、独学では気づけなかった発音の癖や文法の誤解を早期に修正でき、結果として学習効率が大幅に上がることも多いのです。



ほとんどのオンラインスクールが無料体験レッスンを提供しているので、気になったらまず試してみるのがおすすめです。
合わなければ続ける必要はありませんし、体験するだけなら費用もかかりません。判断材料を増やすという意味で、リスクはゼロです。
「どのスクールが自分に合うか分からない」という方へ
筆者が実際に複数の無料体験を受けた経験をもとに、目的別・予算別にまとめた記事がこちらです。
▶ 【2026年最新】フランス語オンラインレッスンおすすめ7社|料金・特徴を徹底比較
「本格的に話せるようになりたい人」「費用を抑えて始めたい人」「とにかく会話量を増やしたい人」——それぞれの目的に合ったスクールが見つかります。
まとめ
フランス語初心者が最初の1ヶ月で取り組むべき5つのステップを振り返ります。
- ステップ①では、フランス語の「音」に耳を慣らすことから始めました。日本語にはない鼻母音やRの音の存在を知り、まずは聞くことに集中する1週間です。
- ステップ②では、アルファベットの読み方と綴りの発音ルールを学びました。ルールを知るだけで「読める」感覚が生まれます。
- ステップ③では、基本の挨拶と定番フレーズ20個を場面とセットで記憶しました。
- ステップ④では、名詞の性・冠詞・基本動詞の活用という文法の入口に踏み込みました。
- そしてステップ⑤では、2ヶ月目以降も学習を継続するための仕組みづくりを行いました。



この5つを1ヶ月で実践できれば、フランス語学習者として確実にA1への道を歩み始めています。
この記事を読んで「もっと詳しく知りたい」と思った方は、以下の記事も参考にしてみてください。
- フランス語独学の全体像を知りたい → 独学ロードマップ6ステップ
- 基本フレーズをもっと覚えたい → 初心者がマスターすべき魔法のフレーズ
- 文法の最初の壁を越えたい → 動詞活用「4大動詞+1」ガイド
- オンラインレッスンを検討したい → フランス語オンラインレッスンおすすめ7社比較
最後に一つだけ伝えたいことがあります。語学学習において「始めること」自体がいちばん大変なステップです。多くの人が「いつか始めたい」と思いながら、いつまでも始められずにいます。でも、あなたはこの記事を最後まで読みました。それだけで、すでに一歩を踏み出しています。
あとは今日、たった15分でいいのでフランス語の音声を流してみてください。その15分が、これからの学習のすべての始まりになります。








